エンゲルスの、大地主階級の栄枯盛衰叙事詩 Jp1295〜p1297
この法則は、大地主階級のおどろくべき生命力の強さを説明する。これほど浪費的な生活をする社会階級は他にはないし、この階級ほど、伝来の「身分相応な」ぜいたくをする権利を、
そのための貨幣がどこからこようとおかまいなしに
、要求する階級はなく、この階級ほど、気楽に債務に債務を積み重ねる階級はない。しかもなおこの階級は、いつもうまく切り抜ける
、土地に投下された他人の資本、資本家がそれから引き出す利潤とはまったく不つり合いな地代をこの階級にもたらす他人の資本のおかげで。
しかし、この同じ法則はまた、大地主のこの生命力の強さがなぜしだいに尽き果てていくかをも説明する。
イギリスの穀物関税が1846年に撤廃されたときに、イギリスの工場主たちは、これによって地主貴族を受給貧民に転じさせたものと信じた。ところがそうなるどころか、地主貴族はこれまで以上に富裕になった。どうしてそうなったのか?非常に簡単である。第一に、このとき以後、借地農場経営者たちにたいして、年々1エーカーあたり8ポンドではなく、12ポンド〔の資本〕を支出すべきことが、契約によって要求され、また第二に、下院にも非常に多数の代表を有する地主たちは、自分たちの地所の排水その他の恒久的改良のための多額の国庫補助金をみずから可決したのである。最劣等地は完全に駆逐されたのではなく、せいぜいのところ、それもたいていはほんの一時的に、他の諸目的のために転用されたにすぎないから、地代は、資本投下の増加に比例して増加し、土地貴族の状態はこれまで以上によくなった。
しかし、すべてははかないものである。大洋横断汽船と、南北アメリカおよびインドの鉄道とが、まったく独特な諸地域をヨーロッパ穀物諸市場で競争しうる立場においた。一方には、北アメリカのプレーリー、アルゼンチンのパンパス、すなわち、自然そのものによって犂で耕作できるようになった数々の大草原、原始的耕作により肥料がなくても何年にもわたって豊かな収穫をもたらす未開拓地があった。また〔他方には〕、ロシアおよびインドの共産主義的共同体の諸地所があったが、これらの共同体は、国家の無慈悲な専制政治が彼らから
、実にしばしば責め苦によって
、無理やり取り立てる租税の支払いにあてる貨幣を手に入れるために、その生産物の一部を、しかもますます増大する一部を売却しなければならなかった。これらの生産物は、生産費にはおかまいなしに、商人の言い値で売られる。なぜなら、農民は支払い期限までになにがなんでも貨幣を手に入れなければならなかったからである。そして、この競争
、未開拓の大草原の土地との競争、また税の締め付けに打ちのめされているロシアおよびインドの農民との競争
、にたいして、旧来の地代のもとではヨーロッパの借地農場経営者および農民は太刀打ちできなかった。ヨーロッパの土地の一部は、穀物では決定的な形で競争圏外に脱落し、いたるところで地代は低下して、われわれの第二例の変化形態2
、価格が低下し、追加資本投下の生産性が減少する場合、
が、ヨーロッパの通例となったのであり、それゆえスコットランドからイタリアにいたる、また南フランスから東プロイセンに至る大地主たちの嘆きとなった。幸いなことに、すべての大草原が耕作圏内に引き入れられるにはまだ遠い。ヨーロッパの全 大土地所有を破滅させ、そのうえ、小 土地所有をも破滅させるには、まだ十分な大草原が残存している。(なぜ追加資本投下の生産性が減少する場合がヨーロッパの通例となったのか、その理由が説明されていないのは残念です。*ykb)